在宅ワーク希望の人に対する詐欺にご注意


2016年に2件、消費者庁から、悪質な在宅ワーク事業者が公表されていました。

在宅ワークを希望する消費者にホームページ作成料等の名目で多額の金銭を支払わせる在宅ワーク事業者2社に関する注意喚起(2016.04.22)

在宅ワークを希望する消費者にホームページ作成料等の名目で多額の金銭を支払わせる在宅ワーク事業者2社に関する注意喚起(2016.11.18)

どちらも「システム」やら「ネット」って社名に入ってるあたり、同じ業者の様子ですが…

とりあえず、在宅ワークを始める時に「初期投資がかかります」と言ってくる所はほぼ詐欺です。
ただし、デザイン制作や、特定の業種の募集の際に専用ソフトウェア(Adobe製品やフォントの用意、表計算ソフト等)を応募者側が準備する事が必須条件です、と言っているところは良くあることなので、見極めが大切です。

筆者HYもデザイン制作の営業をしていた時に、金銭要求では無かったけれどもタダ働きさせてやろうとする詐欺とは接触がありましたので今回はそのご紹介をします。

危険度小

テスト制作を要求してくる

危険度小の中でも、「薄謝ですがテスト代をお支払いします」と言ってくるところはまだ善良です。
これは応募者にその気さえあれば、実績作りも兼ねて受けて良いと思います。
ただ、筆者は謝礼のあるテスト制作をしたことがないので、実際にきちんと支払われるかどうかまでは不明です。

「テスト制作物は業務で使用しません、破棄します」と言ってくるところの信憑性は半々です。
「テストを受けてもらいます」などと、テスト実施を当然顔で言ってくるところとは後にロクなことにならないのであらかじめ避けるのが吉です。
テスト制作費の支払いもないのに「テスト制作物はよそで公表しないでください・使用しないでください」と権利ばかりを主張するところは問題外です。

テスト制作段階に話しを進めた時点ですでにこちらは実績を提示しているはずなので、実績で判断せずにテストを要求してくること自体が特異だと警戒したほうが良いと思います。

危険度中

会社名義なのに、自社サイトを持っていない

web上で実態が見えない会社は怪しいところが多いです。
また、サイトがあっても、ろくに実績が掲載されていない・内容が少ないのも怪しいです。
調べられると痛いことがあって触れたくないか、忙しくてそこまで手が回らない会社=人からどう受け取られるかを重視しない会社、つまり取引相手に対して不安を払拭してあげようとする気づかいが無い。誠実でない可能性が高くなっていきます。

メールの署名などで、会社名の下に電話番号が携帯のみ

会社を装った個人の可能性があります。会社が実在するか怪しいです。
所在地が記載してあれば、googlemapで地所を見たり、会社の登記情報を調べたら判ることが出てくるかもしれません。

自分の要求ばかりを言ってくる

こういうふうに作って欲しい。値段は安くして欲しい。急いで欲しい。修正は何度でもタダで受け付けて欲しい…etc
こちらは願いを叶えてあげる係でも奴隷でもないのです。
要求が多い依頼者は面倒な結果になることが殆どなので、対価を考え、自分の中の“落とし所”を明確にして意志を強く持ちましょう。

テスト制作やサンプルの元データを欲しがる

取引契約もしていないのに、テスト制作の段階で、素材などの詰まっている元データまで「データ構成も検品したいから」と言って無償要求してくるところは、どんなに丁寧に感じ良く言ってきてもダメです。むしろ、丁寧にこちらをおだてるように言ってくるところは元データの価値を理解している確信犯。

元データは、たとえるならばレシピです。
初めて入った定食屋さんに、これ美味しいからタダでレシピ教えて!と言っても、教えてくれるはずは無いですよね。言い方は乱暴ですが、レシピをタダで入手して自分のお店のメニューで出そうとする行為と同義です。

元データの価値は、製作者のそれまで時間を掛けて得てきた経験と技術、工夫にあります。
たいしたことない内容だったら差し上げて構いませんが、貴重なものは販売する意志があるなら料金に対して納得できる内容か検討します。

契約成立後も、元データは料金内に含めるか含めないかも意志を確認し合ったほうが良いです。
言い値に納得できなかったり、嫌でも納品しないと支払いして貰えなそうだ…という場合には、技術的な部分をコッソリ不可視にしてお渡しするとカドが立ちにくいです。技術を不可視にされたかどうかが判るのは現場のオペレーターでないとわかりません。安く買い叩こうとする人はオペレーターでない場合が多いのでなんとかつなぎにはなります。

悪意があれば危険度大ともなる内容ですが、元データの取り扱いに関しては「もらえるものなら全てもらっておきたい」程度の軽い価値感でおられる方も多いので、こちらは危険度中としました。

危険度大

会社名義なのに、メールアドレスがGmailなどのフリーメール

会社組織なのに、身元を隠匿したがる正統な理由は考えられません。
個人が会社になりすましているか、仲介業者なので親会社に身バレしたがっていない可能性があります。
その場合は仲介手数料の中抜きが目的なので、まともな制作費の支払いは望めないと思います。

支払いはサイトが完成後と言っている

なにをもって「サイトが完成した」かはわかりません。運営者が「完成していない」といえばそれまでです。
曖昧な逃げの口上には注意が必要です。ねっKなんとか-Japanさん!

テスト制作物のクオリティを上げるよう要求してくる

まだ契約未成立なので、制作物の完成雰囲気を見せれば十分伝わるはずだから、と、こちらがSAMPLEの文字を上から載せて提出したとします。
すると、「クライアントが納得しないので」とか何とかいってSAMPLEの文字を外すよう要求してくるところもダメです。ねっImagination Cなんとかさん!


ラフ提出用ならば十分、と、jpg画像で低画質に劣化させた状態に対しての高画質希望も同様です。
「低画質では見栄えが落ちて印象がわるいので高画質にして再提出ください」とか。

相手に希望されるまま良い状態のものにして提出すると、かなりの高い可能性であずかり知らぬところで勝手に都合よく使いまわされます。
サービスしてあげれば今後もご贔屓にしてくれるかも?と期待するのは無駄だと思われます。

返答または納品を急がせる

初回取引にも関わらずいきなり契約を急がせたり納品を急かしてくる業者は、熟慮・調査する時間を与えないよう強引に物事を進めようとしている可能性があります。

チャットワークや特殊なサイトに取引を誘導してくる

メールで取引の経緯を残したがらずに、証拠の残りにくい外部に誘導しています。
メールの記録は大切なもので、万一の時の証拠資料となりえます。
水掛け論を避けるためにも、双方の取り決めに対して、同意を含む返答を明確に記録として残す必要があります。

チャットタイプのサイトは一見制作進行がスムーズに運ぶようにみえますが、発言内容を再編集しなおせたり、ログが取りにくかったりします。
こういった誘導をしてくる業者のアカウントはたいてい適当な名づけが多く、担当者はおそらく偽名。会社の実在も怪しいです。
最近見かけたのは在宅12345さんとか在宅お仕事さんとかwebworkerさんとか。直球ネームが多いですね。

なぜ詐欺か判ったかというと、こういった案件で筆者が途中までは交渉したものの途中から怪しさを感じ、取引辞退を申し出て関係を終了させたことがありました。その数ヶ月後、SOHO相談掲示板で同様の手口での未払い被害が訴えられているのを目撃したのです。

詐欺の実体験

筆者が実際に体験した、詐欺と思われる取引の経緯です。

悪質業者のメール(原文ママ)
お世話になっております。早速のご連絡ありがとうございます。
では、資料をお送りしたいのですが、チャットワークより資料の添付等をさせていただいてもよろしいでしょうか?
チャットワークに移行し、なぜかメール担当者(悪質業者)とチャットワークでの担当者は自称“別人”に切り替わる
チャットワークでのやりとりは制作の具体的な内容ばかりになり、制作範囲のすり合わせは出来たが、発注フローなどは一切明かされない。
発注書や見積書等は無いのかと訝しんだが、書類名を具体的に伝えると学習させてしまうのではないかという予感がしたので「各書類の発行もそろそろ出来るのではないかと思いまして」とぼかした書き方で悪質業者の方へメールする。
悪質業者のメール(原文ママ)
ご請求タイミングについて、PDFでデザイン納品検修完了次第に納品月末締めにてお支払いは銀行お振込翌月末にて手配をさせて頂きます。
よろしくお願い申し上げます。
その他不明点ありましたら、おっしゃって頂ければ幸いです。
文章がおかしい所も気になるし訊きたいのはそればかりじゃない…そもそもその内容は最初に発注者側から説明があるべきではないか。
100歩譲って、たとえ外注に不慣れな業者だとしてもこれは面倒な相手だと思い取引停止の意志を固める。
私のメール
御社では発注書、お見積書などの書類は必要とされないのでしょうか?
投稿内容が後から編集できるチャットワークでは記録として残せませんので、製作範囲と報酬面の確認がとれる書類の添付、または、今回は比較的ライトな案件という事もありメールにて記載確認をお願いしたいのですが難しいでしょうか?
悪質業者からのメール返信が無くなる。
チャットワークで制作進行担当者に、メールで記録を残してもらえるよう悪質業者と話をつけてくれないかと問うが、「こちらチャットワークではダメでしょうか?」などと歯切れが悪く、制作の話に戻そうとしたがる。
チャットワークで、相手を責めないよう丁寧な書き方で、私が取引中止を申し出る。
一言の返事もなく即、相手からグループチャットを削除される。

 

その後しばらくこの出来事については忘れていたのですが、2016年秋頃SOHO相談掲示板で、同じ流れで未払いになっていて相手から音信不通にされたという報告を見かけたので思い出しました。

また、チャットワークでやりとりをしている最中、この悪質業者は尻尾を出しました。
ファイル転送サイトで、親会社(正体?)への送付状付きデータのURLをこちらに渡したのです。
そこに記載されていた社名と、悪質業者が名乗った社名は一致していませんでした。
外注がいくつも関わっているのかもしれませんが、この時点で滅茶苦茶な案件だという事は明白になりました。

ファイル転送サイトのスクリーンショット


データを送った人を調べたらフリーランスで動かれている方のようでした。この方もこの後被害に遭われたかはわかりません。

親会社(正体?)C社について調べたところ、検索が悪い評判に引っかかりました。
やはり、未納などのトラブルを訴えられていたのです。

悪質会社の社名で検索すると、広告代理店会社の立派な自社サイトがひらきます。株式会社Medi◯というところ。
でも、メールの署名と会社概要を比べてみると、会社所在地が違いました。
検索で調べて来られるまでをこの業者は想定して同じ制作業界であるMedi◯さんになりすまし、正体がバレにくいよう時間稼ぎしているのだと思いました。
なお、この業者の使用メールアカウントはGmail。メール署名の社名の下に書かれていた電話番号は固定ではなく携帯の番号でした。

SOHO掲示板で同様の被害を訴えられていた方は、携帯に連絡するも音信不通にされ、登記簿を調べたそうですが所在地に会社が無かったそうです。
同じ業者かはわかりませんが、似たような時期と特徴でしたので同一業者かもしれません。

このような手口が知られるようになり、被害に遭う人が減る事を願います。

 

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HY

HY

主にデザイン制作物を担当している、40代の在宅ワーカー主婦です。弓道弐段です。襷掛けと羽分け規定のある参段審査の壁は高い!けど、いつか獲るを目指して頑張ります。